持病の腰痛がひどくなり、タクシーを呼んだ。 目印が何もないので説明するのにどう伝えればよいのか戸惑った。「今は誰も住んでいない門脇から呼ばれたので不思議に思いましたよ」影がどんどん長くなる。
5月初めに気がついたが、門脇のヘドロには白いものが混じっていた。 製紙工場から流れたパルプだった。 真っ黒ではなかった。「そのパルプのお陰か、ここら辺、ヘドロの匂いだけは少ないのよ」 すれ違った墓参帰りの老婦人はそう言って小さく笑った。地盤沈…
家の中からテレビの声が聞こえるヘリコプター揚げ物の匂い犬が吼えているカラスがカァと鳴く台所の洗い物の音 カチャカチャ視界が開ける
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